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2025年9月24日

お知らせ

第三十一回「はたらく人の創造性コンソーシアム」

イノベーションを生む組織と環境とは
~グーグル ブランドマーケティングマネージャー 清水さんが講演~

第三十一回「はたらく人の創造性コンソーシアム」が9月2日、リコージャッパン晴海トリトン事業所(東京都中央区)で開催された。現地・リモートのハイブリッド方式で、グーグル合同会社のブランドマーケティングマネージャー清水綾香さんが「イノベーションを生み出す組織環境づくり」と題して講演した。グーグルの組織文化として失敗から学ぶ姿勢やDEI=ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包括性)=、心理的安全性、フィードバック文化など具体的な制度や事例を紹介した。講演後は活発な質疑応答が行われ、参加者の関心の高さが示された。

 

〔講演要旨〕

◆グーグルの組織文化とイノベーション

  • グーグルでは「失敗なくしてイノベーションなし」という考え方が根付いている。
  • イノベーションは、一人の天才から生まれるのではない。多様な人材で構成されるチームの力を最大化してこそ生まれる。
  • 自律的な働き方を実現するためのカルチャーが重要。

◆イノベーションを支える五つの要素

① ビジョンの共有

  • 解決すべき問題や課題などの組織の方向性を、誰もが認識できるようにする。
  • 全社のミーティングでトップが直接社員に語りかける。新入社員が直接質問することも可能。

② 自主性の尊重

  • 社員が自分の仕事を定義し、マネジャーは「支援者」として寄り添う。
  • 面談では「何かサポートできることはないか」という姿勢を持つ。
  • マネジャーは部下からのフィードバックを受け、改善に生かす。

③ 内発的動機づけ

  • 業務時間の20%を使って新しい挑戦に取り組むことが可能。GmailやGoogleフォトなどがこの制度から誕生。
  • 他部署での業務経験を通じて視野を広げる自律的なジョブローテーション。
  • 社員同士が自主的に学び合う文化を醸成。

④ リスクテイクと失敗の受容

  • 従業員が心理的安全性を感じられ、リスクを恐れずに新しいアイデアを試せるようにする。
  • 成長型思考(Growth Mindset)で困難を乗り越える力を育む。
  • 失敗は「学びの機会」として歓迎する。

⑤ つながりとコラボレーション

  • 社内検索やドキュメント共有により、誰でも必要な情報にアクセス可能。
  • 従業員が仲間を見つけやすく、協業しやすい環境をつくる。
  • 積極的に建設的なフィードバックを共有する。

 

【参考】イノベーションを生み出す組織環境づくりのためのリーダーシップ・プログラム
「10X Innovation Culture Program」

 

【編集後記】
今回の講演を通じて、グーグルは「創造性を発揮するための基本」を徹底的に実践している企業という印象を強く受けました。ビジョンの共有、心理的安全性の確保、フィードバック文化の醸成といった要素は、どの組織においても重要だと広く言われています。しかしグーグルは、それらを「分かっているつもり」で終わらせず、仕組みとして定着させ、日々の行動にまで落とし込んでいます。

例えば同社で浸透する「Steal with Pride(誇りをもって盗め)」という言葉。良いアイデアや工夫は積極的に学び取り、自分たちの活動に取り入れていこうという姿勢を表しています。こうした言葉が社員同士の会話や日常の仕事の中で当たり前に使われていることに驚きを覚えました。私たち自身の組織を見つめ直す上でも、多くの示唆をいただける大変貴重なご講演でした。

 

清水綾香さん

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