Quick Take
2025年10月3日

創造性を測れるか?

みなさんは創造性を測ることができると思いますか?「あなたの創造性は●●点」と数値で出せたらとても便利そうです。学術的には、創造性を測るためのテストや指標の研究が少しずつ進んできていますが、それらをそのままビジネスの現場に持ち込んでも、なかなかうまくはいきません。大きく言うと、三つの課題があり、次のように整理できます。

①データや調査・評価の制約

創造性を測るために芸術作品や特許、論文などの公開データ、またアンケート調査が活用されています。そのうち、公開データは取得できる分野・領域が限られています。

 

アンケート調査も質問や評価方法などによって、「バイアス」を与えてしまう可能性があります。例えば、自己評価をする場合、「この答えのほうが自分にとって得」と考えてしまい、正直に答えないかもしれません。

 

専門家など第三者に評価してもらう場合は時間やコストがかかるため、理想的な調査ができないこともあります。特に、限られた予算や人員で運営している現場では、実施のハードルが高くなります。

②難しい評価の妥当性判断

評価・調査の制約に加え、創造性は評価も難しいです。革新的なアイデアは、。新しさと実用性はしばしば両立せず、基準も曖昧です。例えば、「iPhone」も発売当初は革新性が注目された一方、機能面に疑問を持つ声が多く、有用性は評価されにくい状況でした。

 

専門家や上司による評価も、必ずしも正確とは限らず、判断には偏りが生じる可能性があります。

③「万能な物差し」存在せず

研究されている多くの評価方法は、ある分野では役立っても、他の分野ではうまく使えないケースが多いです。例えば、製造業とサービス業では、アイデアの新しさや役立ち方の基準が大きく異なります。そのため「万能な創造性の物差し」はまだ存在しません。

 

さまざまな要素が関係する創造性は一つの方法だけで正しく測るのは難しく、いくつかの方法を組み合わせて、総合的に判断する必要があります。

技術の発展に期待

こうして見ると、現時点で創造性を正しく測るのはとても難しいことが分かります。しかし、今後AIなどの新しい技術によって課題が解決できるかもしれません。例えば、会議の内容をAIが分析して、話し合いがどれくらい創造的だったかを判断するような研究も進んでいます。こうした技術の進歩によって、創造性をもっと正確に、効率よく測れるようになる可能性があります。

 

※さらに詳しく知りたい方は、こちらのレポート「創造性向上 を目指す企業の挑戦―計測の困難さを乗り越える―」をご覧ください。

最近の投稿