2023年2月3日(金)、第二回「はたらく人の創造性コンソーシアム」が、東京都中央区にある晴海トリトンで行われました。今回は、現地参加・リモート参加のハイブリッド開催となりました。リモート参加者からも活発な発言があり、第一回同様、活気ある会合となりました。
オブザーバーとして経済産業省産業人材課で創造性人財育成事業に携わる3名が初参加しました。また、リコーから山下社長も現地参加しました。
会合では、コンソーシアムのアドバイザーである永山准教授から、創造性の定義や特徴についての解説のほか、今後の議論に向けた「創造性フレームワーク」の説明がなされました。その後、創造性の「測定」についての議論が行われました。
永山准教授の講演概要
①創造性(アイデア)の特徴
- 学術的には、創造性は、ある「ドメイン」における「新規」かつ「有用」な「アイデア」の創出(Amabile,1996)と定義されている。
- アイデアは「概念」であるため、イノベーションとは区別される
- 評価者のもつ情報や感性によってアイデアの評価は左右される
- 新規性と有用性は相反しやすい
- 新しいアイデアは既存の組み合わせから生まれるが、単なる寄せ集めではなく、一体感のある必然的な装い(新しい価値)が必要
(出所)一橋大学 永山晋准教授
②知の結合
- 個人「内」知の結合を促すには、「認知・行動」に働きかけることが必要
- 個人「間」の知の結合を促すには、「関係性」や「規範・構造」に働きかけることが必要
③創造性のフレームワーク
- 創造性のプロセスとして「知の拡張」「知の結合」「知の精錬」があげられる
- 働きかけの対象として「個人」「集団」「組織」があげられる
- 下記フレームワークを使うことで、プロセスと対象を明確化しながら議論を進められないか
(出所)一橋大学 永山晋准教授
◆ディスカッションに向けて―創造性の「測定」の共通基盤をどうするか?
- 現在の創造性の測定はアンケートで行われることが多い。負荷が高いことが課題
- 「モノ」「ヒト」「組織」の中で何を対象として測定を行うか
- 行動や認知といった創造性の先行要因を測定する方法も考えられる
◆ディスカッションのポイント
ディスカッションのテーマ:「創造性」の測定方法とは?
- 創造性を考える際、ソリューションだけに着目せず、その前提となる「問題提起」にも目を向けることが重要と考えられるが、問題提起に関する学術研究はあるか(メンバー)
- 問題設定に関しては、あまり研究が進んでいないように思う(永山准教授)
- 創造性を評価する人をどのように見つけるか、また、評価者をどう評価するかといった観点も重要なのではないか(メンバー)
- 組織の創造性を測る際、組織の構成員全ての創造性が等しく高い必要は無いかもしれない。問題設定がうまい人、解決策の上手い人、コーディネートが上手い人などがおり、そのベストミックスができているのか、という発想で測定することが考えられないか(メンバー)
- 人事評価の中で「他の人の成果を活用できたか」という項目を入れることで、知の結合を促す取組みを行っている。人事評価も組織の創造性を高める手段の一つになるのではないか(メンバー)
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◆ひとこと
2月3日節分の日に、第二回会合が開催されました。開催場所は第一回と同じでしたが、現地参加とリモート参加のハイブリッドとなりました。当日は、現地の状況や音声をいかにリモート参加者に滞りなくお届けできるか、細心の注意を払いました。しかしながら、聞き苦しい点があったかもしれません。今後、ハイブリッド環境であっても、円滑かつ活発な議論が可能となるよう、試行錯誤していきたいと思います。
さて、会場のある「晴海」―どのような場所かご存じでしょうか。この地は、昭和12年、中央区議会で「いつも晴れた海に望みたい」との希望をこめて「晴海町」と命名されました(素敵ですね!)。過去には、東京市の市庁舎移転先(昭和8年)や、万国博覧会開催(昭和15年)の候補地として名前が上がりましたが、そうした話は立ち消えとなりました。しかし、昭和34年に恒久展示館(東京国際貿易センター)が建設されたことを機に、多くの見本市が開催され、たくさんの方で賑わう場所となりました。「東京ビッグサイト」の完成(平成8年)によりその役目を終えましたが、それまでは東京モーターショーや東京国際見本市、コミックマーケットなどの重要な催しを先駆けて提供してきた場所です。
本コンソーシアムも「晴海」の地と同様、広く社会から認識され、様々な人のお役に立つものにしていければと思います。
(事務局 小川)