今、ビジネスの現場では創造性が成果や競争力に直結する重要な力として注目されています。でも、「あなたのチームは創造性を発揮できていますか」と聞かれたら、少し戸惑ってしまうかもしれません。
創造性は、どうやって測ればよいのでしょうか。
実は、創造性にはいろいろな側面があり、一つの物差しで測るのはとても難しいのです。これまでの研究では、主に以下の三つの視点から創造性を捉える方法が検討されてきました。
① アイデアの「新しさ」と「役立ち度」
これは、実際に生み出されたアイデアや成果物をレビューする方法です。例えば、「このアイデアは斬新か」「実際に役に立つか」といった観点で判断します。
とはいえ、創造性を正しく捉えるには「誰が評価するか」がとても大切です。評価する人の目利き力によって、判断の精度が大きく変わってしまうからです。例えば、業界に詳しく、これまでに多くのアイデアを見てきた人ほど、「これは新しい」「これは使える」と見極める力があります。
②個人の「ポテンシャル」や「特徴」
人それぞれ、創造性のタイプは異なります。論理的な思考が得意な人もいれば、自由な発想でアイデアを次々と出せる人もいます。 これについては、性格や思考パターン、行動特性などをアンケートや心理テストで分析し、その人が持つ創造性の傾向を評価します。例えば、自由連想テストや思考スタイル診断などを通じて、発想力・柔軟性・論理性などを測定できます。こうした診断結果をもとに、個人の強みを生かした役割分担やチーム編成に活用もできます。
③創造性を発揮しやすい「職場環境」
創造性は、個人の能力だけでなく、周囲の環境によっても大きく左右されます。どんなに創造性の高い人がいても、職場の環境が整っていなければ、その力は十分に発揮されません。
そこで注目されるのが「職場環境」です。例えば、心理的安全性が高く、自由に意見を言える雰囲気があるか。新しい挑戦が歓迎される文化か。上司がアイデアを受け止め、支援してくれるか。こうした要素を可視化することで、創造性が発揮されやすい職場かどうかの見極めができます。
環境を整えることは、個人だけでなく、チーム全体の創造性を引き出すための土台づくりとも言えるでしょう。
ビジネス現場ではチャレンジの途中
このように、創造性を測るにはさまざまな視点がありますが、実際のビジネスの現場では、創造性の見極めは簡単ではありません。研究のように条件が整った場面で測定できても、多くの要素が絡み合い日々変化する実務の中では、創造性の可視化は一筋縄ではいきません。
実務の中で創造性をどう捉えるか―。その難題に向き合い、工夫を重ねている企業もあります。そうした挑戦の事例は、次のレポートで紹介されています。
「プログレスレポートVol.2:創造性向上を目指す企業の挑戦 ―計測の困難さを乗り越える―」
ぜひご覧いただき、皆さんの職場でも「創造性を引き出すヒント」を見つけてみてください。
